参議院では「ODA調査派遣」として、毎年調査団を途上国に派遣し、日本のODAの現場を視察しています。今回、2010年度ODA調査派遣第2班で団長として、12月4日(土)~15日(水)、まで、米国とカリブ海のドミニカ共和国に行ってきました。
米国(ニューヨーク)では、ハイチ大地震後の復興やコレラの感染拡大防止に関する日本や国連等の国際機関による支援の状況、我が国の国連外交について、国連関係者から説明を聴取し、意見交換を行ったほか、ハイチ支援関係者と面会し、コレラ対策などハイチが抱える喫緊の課題と支援の在り方について意見交換を行いました。
ドミニカ共和国では、まず、同国西部、ハイチ国境に近いサンファン・デ・ラ・マグアナ市を訪れ、ギド・ヒルデア学校教育施設拡充計画(草の根)の竣工式に参加し、視察・意見交換を行いました。
次に、首都のサント・ドミンゴ市では、日本・ドミニカ共和国友好医療教育センター(無償資金協力)、基礎教育施設(草の根無償資金協力)、廃棄物総合管理能力強化プロジェクト(技術協力)実施地区等を訪問・視察し、意見交換を行いました。
また、マルティネス輸出投資センター長官や同国で活躍する青年海外協力隊員などJICAボランティアの方々との意見交換も行いました。さらに、隣国ハイチにおける大地震への支援の状況に関し、我が国NGOを始めとする関係者と意見交換を行いました。
ドミニカ共和国は、中米・カリブ地域の中で民主主義が定着し、経済・社会開発に取り組んでいる国です。
日系移住者が日本との架け橋となってきた歴史があること、また国内には依然として多くの貧困層が存在することから、日本は貧困削減や社会開発に伴う環境問題に対処するためのODAに力を入れています。
今回の訪問でも、貧困地域の教育施設や診療所、ゴミ収集に関するODA案件を視察しましたが、比較的少ない金額で大きな効果を挙げている日本のODAの現場を見ることができました。特に青年海外協力隊を始めとする日本の技術協力が、「顔の見える援助」として日本から遠いカリブの地においても大きな役割・効果を挙げていることに感銘を覚えました。
また、今回調査団はドミニカ共和国の隣国ハイチも訪問し、ハイチ大地震後の復興状況を視察する予定でしたが、訪問直前になってハイチ国内でコレラの感染拡大大統領選挙を巡る政情不安・治安悪化によって入国を断念し、ドミニカ共和国や米国での関係者との意見交換によって調査を行いました。
地震発生から1年以上がたつ今でも、ハイチは復興とはほど遠い厳しい状況にあります。同じ地震国として、日本の持つ経験や技術を活かしたODAを実施していくべきと感じました。
帰国後の2011年2月16日には、私が筆頭理事を務めている参議院ODA等特別委員会において、緒方JICA理事長の出席も得て、今回の調査の報告と意見交換を行いました。
民主党への政権交代後、厳しい財政状況に加え、民主党がマニフェストで掲げていたばらまき政策に財源を充てたため、ODA予算は一層削減されています。
ODAの大幅な削減によって、日本が国際社会で負っている責務が果たせなくなりつつあるだけでなく、例えば、国連の内部の日本人幹部職員の登用が減ってしまい、国際社会で日本の声が通りにくくなっているなど、日本の国益にとってもマイナスの影響が出てきています。
資源や食料、市場の多くを海外に頼る貿易立国である日本が国際社会で生き抜いていくためには、無駄を排除しながらも、適切なODA予算の確保はやはりしていかなければならないと感じました。
調査の報告書は近日参議院のHPで公開される予定です
(http://www.sangiin.go.jp/japanese/kokusai_kankei/oda_chousa/index.html)
ギド・ヒルデア学校教育施設拡充計画竣工式(写真)
首都サントドミンゴから車で3時間かけ、ハイチ国境に近いラ・マグアナ市を訪れ竣工式に出席しました。
日本のODAによって教室が拡充され、これまで施設に通うことのできなかった貧しい就学前児童も受け入れることができるようになりました。
メルセデス・デ・ヘスス基礎教育施設建設計画(写真)
~首都サントドミンゴでは経済発展に伴い貧困地域が増えています。日本のODAによって建設された教会付属の教育施設によって、親のいない幼児の宿泊や地域で学校に通えない貧しい子供達に道徳教育や基礎教育を行うことができるようになりました。